2020に見たい世の中の景色
あけましておめでとうございます。
謹んで初春のお慶びを申し上げます。
元旦は自転車に乗って、近所の神社に初詣に行ってきました。
普段は人がまばらな神社も、このときとばかりの大賑わい。
家族連れ、カップル、お友達同士でと、にぎにぎしく参拝に連れ立っており、私のようなひとり参拝者は少なかったかもしれません。
新春を迎えた神社の空気の清々しさはもちろんのこと、素敵な光景を目にしました。
印象に残ったのは、家族の姿。
私の前に並んでいたのは三人のお子さんを連れたご夫婦で、6歳と3歳くらいの女の子にきちんと晴れ着を着せて参列していました。
お母さんは男の子の赤ちゃんを抱いていて、お父さんは、時折、晴れ着をひきずってしまう女の子の袖口をなおしてあげたりして、これまたほほえましい光景でした。
失礼な物言いかもしれませんが、このご家族のお母さん、晴れ着を着た子供たちとは対照的に、ご自分の身なりにはほとんど無頓着、といったご様子。
長い髪を無造作に一本結びにし、化粧っ気はなく、お世辞にもよそゆきとはいえないジーンズにシャツ、といった服装でした。
それがね、何だかとても素敵だったのです。
きっと3人もの小さなお子さんがいて、自分のことになど、ほとんど構っていられないのでしょう。
それでも、娘たちにはきちんと晴れ着を着せて、髪飾りをつけてやり、赤ちゃんを抱っこ紐でうんしょと抱いて、家族そろって、初詣に出かける。
日本人として大切なことを、子供たちにきちんと教え、経験させている姿が素晴らしいなと。
並んでいる途中に何度か、次女と思われる3歳くらいの女の子と目が合いましたが、思わず心の中で「いいお家に生まれたね。」とつぶやかずにはいられないのでした。
帰りには、仲睦まじく手をつないで歩くシニアのご夫婦とすれ違ったりして、改めて、家族っていいな、と思いました。
昨年は、仕事の面でいろいろと、しんどい時期もありましたが、そのときに助けられたのが家族の存在です。
「家族のためなら、何のこれしき」と、美輪明宏さんのヨイトマケの歌に出てくる母ちゃんさながら、気合を入れてふんばったものです。
だから、思うのです。
関わる人のことを、まるで自分の家族のように大切に思える世の中になったらいいな、と。
人は、心底大切な人がいれば、いくらでもがんばることができます。
落ちこんで、自暴自棄になりたくなるようなことがあっても、家族を思えば「いやいや、おかしなことをしてはいけない。」と自分を律することもできます。
それは、人を傷つけたり、自分を傷つけることをしない、という行動にも繋がるでしょう。
親が子を思う気持ちには、何の見返りもなく、ただただ、相手が幸せであってほしいと思う気持ちがあるだけです。
そうした気持ちを、人にも向けられたら。
関わる人同士が、お互いを、心底、大切に思える世の中。
数々の素敵な家族とすれ違い、そんな景色が見たいと感じた、初詣でした。
*
本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。
2020 新春 樋口智香子